蛋白尿陰性で経年的にeGFRが低下した場合のリスクについての考察
尿蛋白が陰性でeGFRの経年的な低下が起きた場合のリスクがどのぐらいか、といった問いについての論文は知りません。
ご存知の方がいらっしゃいましたらご一報をいただければ、と思います。
尿蛋白が陰性でeGFRの経年的な低下が起きる原因として、筋肉量の変化でCrが上昇した事例は時々拝見することがあります。
その他、本当にGFRが低下していたと思われる場合、
1) 薬剤
2) 水腎症
3) 過剰降圧
4) AKIの合併から回復した場合
5) 先天性の疾患
などが想定できます。
1) 2) は原因の解除できれば、進行性の腎不全への進行は回避できる可能性が高いと思います。
頻度の高い薬剤は ビタミンD(高カルシウム血症による)、フィブラート系の高脂血症薬、NSAID、などがあると思います。
3) 尿蛋白が陰性の状況ではARB ACEI による腎機能保護効果が明らかとなっていないと考えます。過剰降圧によるGFRの低下は回避すべきと考えます。
一方で 尿蛋白が多い症例においては、ARB ACEIの投与による腎機能の軽度悪化と尿蛋白の減少、のどちらを優先すべきか、については 議論があるところです。
ACEI ARB 投与後のeGFR軽度低下群が腎不全リスクとなる、との論文はコントロールがないという問題があます。リンクをご参照ください。
3) 4)についてはCKD進行のリスクがあることがしられており、ある程度のリスクを想定した方が良いのかもしれません。